既存の建物を免震化する「免震レトロフィット工法」、その工事に必要な費用(コスト)や時間を調べてみました。
まず3件の事例を基準に、
北海道庁本庁舎
2016年、北海道庁本庁舎は地下に免震装置を設置する改修工事を実施しています。
工事の概要は、
■建設概要
- 階数:地上12階建て
- 延床面積:57792㎡
- 施工:竹中工務店・丸彦渡辺建設・田中組
- 内容:地下に免震装置92基を設置。
■工事期間
- 平成24年12月~平成28年1月迄。約3年1ヵ月間。
※準備段階から完成までの時間です。
■費用
- 約51.5億円
大分県庁本館
2015年、大分県庁本館では免震レトロフィット改修工事を完成させています。
■建設概要
- 階数:地上9階建て
- 延床面積:30709㎡
- 施工:大成・佐伯特定建設工事共同企業体
- 内容:基礎免震化、設備機器、設備配管工事。
■工事期間
- 平成24年9月~平成27年5月。約2年8ヵ月間。
■費用
- 約24.9億円
横浜市庁舎
横浜市庁舎は平成21年に免震レトロフィット耐震工事を完成させています。
■建設概要
- 階数:地上8階建て
- 延床面積:20756㎡
- 施工:戸田・馬淵・住友電設・ダイダン異業種建設共同企業体
- 内容:行政棟免震化工事(弾性滑り支承104基・積層ゴム38基・鉛ダンパー付積層ゴム10基)
■工事期間
- 平成19年2月~平成21年4月。約2年2ヵ月間。
■費用
- 約36億円(免震化工事費のみ)
比較すると
建物名 | 階数/延床面積 | 期間 | 価格 |
北海道庁本庁舎 | 12階/57792㎡ | 約3年1ヵ月 | 約51.5億円 |
大分県庁 | 9階/30709㎡ | 約2年8ヵ月 | 約24.9億円 |
横浜市庁舎 | 8階/20756㎡ | 約2年2ヵ月 | 約36億円 |
3事例を比べてみた結果、
免震レトロフィットの工事期間はおよそ2年~3年程度というのが分かります。
一方コスト面について、延床面積の広い大分県庁より狭い横浜市庁舎の方が割高でした。
必ずしも「広さ」と「費用」に相関関係があるわけではないようです。
「免震装置の種類・数量」や「施工会社」、また「地方か都市部か」といった要素も価格に反映されてくるのかもしれません。
ちなみに大成建設の免震レトロフィット費用はおよそ「350万円/坪」だそうです。※平均値より類推。
新築より安い
ただし新築の免震構造建物に比べれば割安で、例えば
- 高知市新庁舎:177億円(32420㎡)
- 日向市新庁舎:55億4500万円(11573㎡)
です。詳しくは免震構造建物の建設コスト比較にて。