新型コロナウイルス感染症がパンデミックを起こした2020年。そのコロナで経営にダメージ(赤字)を受けた産業と逆に売り上げを伸ばした(維持できた)業界を比べてみました。
参考にしたのは日本証券取引所が公開する「2020年度決算短信集計」。コロナ禍前の2019年度と比べ売上高の変化をまとめます。
※集計期間:2019年度【2019年4月~2020年3月】。2020年度【2020年4月~2021年3月】
2020年売上高増減率(2019年度比)
まず全産業と製造業、非製造業の比較。
- 全産業:-6.78%
- 製造業:-7.84%
- 非製造業:-5.67%
すべての産業全体で-6.78%、前年に比べ売上高が減少。製造業、非製造業別だと製造業(-7.84%)の方が経営にダメージを受けたとわかります。
2020年売上高増減率業種別(2019年度比)
続いて業種別の売上高の増減比。
ほぼすべての業界でマイナス。コロナ前の前年に比べ売上高が増加したのはわずか保険業、情報通信業、その他製品の3業種のみでした。
- 水産・農林業:-4.19%
- 鉱業:-16.90%
- 建設業:-5.60%
- 食料品:-3.90%
- 繊維製品:-11.23%
- パルプ・紙:-6.01%
- 化学:-4.73%
- 医薬品:-0.47%
- 石油・石炭製品:-23.01%
- ゴム製品:-13.03%
- ガラス・土石製品:-6.19%
- 鉄鋼:-14.70%
- 非鉄金属:-3.24%
- 金属製品:-9.39%
- 機械:-8.07%
- 電気機器:-2.92%
- 輸送用機器:-11.77%
- 精密機器:-7.34%
- その他製品:+0.62%
- 電気・ガス業:-2.77%
- 陸運業:-20.44%
- 海運業:-9.26%
- 空運業:-62.29%
- 倉庫・輸送関連業:-1.23%
- 情報・通信業:+0.10%
- 卸売業:-5.64%
- 小売業:-2.39%
- 不動産業:-3.38%
- サービス業:-6.31%
- 銀行業:-13.53%
- 証券・商品先物取引業:-5.76%
- 保険業:+1.09%
- その他金融業:-0.42%
最も影響を受けた業界
前年比10%以上の売り上げを落とした上位9業種です。圧倒的なマイナスだったのが空運業。物流も旅客もコロナでストップした航空業界が1位でした。
以外だったのは石油・石炭製品、鉱業、鉄鋼、ゴム製品など製造業が上位にランキングされていたこと。メディアなどは「観光、宿泊」「飲食店」ばかり苦境を取り上げてましたが、実はそれらサービス業より製造業の影響が甚大だったのだなと。(自粛の補償もないし…)
- 空運業-62.29%
- 石油・石炭製品-23.01%
- 陸運業-20.44%
- 鉱業-16.90%
- 鉄鋼-14.70%
- 銀行業-13.53%
- ゴム製品-13.03%
- 輸送用機器-11.77%
- 繊維製品-11.23%
逆にコロナの影響を受けなかった業界
一方、新型コロナウイルスによる自粛の影響をあまり受けなかった上位5業種。
- 保険業+1.09%
- その他製品+0.62%
- 情報通信業+0.10%
- その他金融業-0.42%
- 医薬品-0.47%
テレワーク(在宅)、DX需要の恩恵を受けた情報通信業、また保険業界や医療・医薬品関連の仕事もほとんどコロナの影響を受けなかったようでした。上位にランキングされている業種はコロナ関係なく不況に強いビジネスモデルなのかもしれません。